牛の気質に関与する要因について
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概要
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牛を個別に扱う場合,その難易は牛の気質に大きく依存する.本研究では牛の気質に係る要因を検討するため,約200頭の肉用牛を14か月にわたり調査し,体重測定時の平均気質評点と6要因(管理法,年齢,増体重,生体重,性および品種)との関係の分析および気質の遺伝率推定を行なった.気質評点は,1点(おとなしい),2点(少し落ち着きがない),3点(落ち着きがない)および4点(神経質)から成る4段階で行なった.調査した要因のうち,管理法と年齢とが気質評点と最も密接な関係にあった.すなわち,気質評点は,管理法が変わると有意に変化した.そして,気質の個体差は基本的には一生変わらないけれども,年齢が進むとともに牛は全体的に有意におとなしくなった.品種との関係では,黒毛和種は,日本短角種よりやや落ち着きがない傾向がみられた.増体重,生体重および性は,気質評点とほとんど関係がなかった.遺伝率は,父を共通にする半きょうだいの表型似通いによる方法では0.448(P>0.05)と,親子回帰法では0.666(P>0.01)と推定された.以上の結果より,牛の体重測定時の気質評点を低めるためには,気質による選抜および牛を興奮させない管理法,すなわち刺激的な音を出さず,スムースな牛群の移動を導く誘導施設および扱い方,が必要であると考えられた.
著者
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