低温•凍結サイレージの給与がめん羊の採食速度,第一胃内温ならびに第一胃内発酵に及ぼす影響
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概要
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低温サイレージ,特に凍結したサイレージの給与が反芻家畜の栄養および生理反応に与える影響を解明するための第1段階として,3頭の去勢めん羊に10°C,3°Cならびに-10°Cのグラスサイレージを,この願に,それぞれ6日間給与し,採食速度,第一胃内温,第一胃内容液のNH3-N濃度,VFAの濃度および組成,直腸温,心拍数ならびに呼吸数について比較検討した.得られた結果の大要は次のとおりである.1. 10°Cのサイレージを給与した10°C期と3°Cのサイレージを給与した3°C期との間には各測定事項とも有意な差は認められなかった.2. -10°Cのサイレージを給与した-10°C期には10°C期および3°C期にくらべ,a. 採食速度が低下し(p<0.05),b. 採食を開始した後,第一胃内温および直腸温が顕著に低下し,第一胃内温が採食前の水準に回復するに要した時間も長かった(p<0.05).c. 採食にともなう心拍数の増大の度合が大きく,3時間にわたり差が認めらた(p<0.05).d. 第一胃内容液のVFA濃度が最高値をとる時間が遅れる傾向が認められた。3. 第一胃内容液のNH3-N濃度,VFAの濃度および組成ならびに呼吸数には実験期間に統計的に有意な差は認められなかった。4. 計算されたHeat of warming(Hw)は給与したサイレージが凍結状態にあるか否かにより大きな差が認められ,-10°C期と他の2期との間に認められた差とHwとの間には大きな関係が存在するものと想像された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文