鶏における造精機能の季節的消長について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本実験は,性的成熟鶏16羽を用いて,月2回ずつ,1カ年間採取した精液の性状と,各期に屠殺した23羽の睾丸の組織学的観察から,雄牲生殖腺機能の季節的消長を調べたものである。精液量は,春季に最高(0.23cc)が得られ,次いで冬季(0.22cc),秋季(0.20cc),夏季(0.18cc)の順であつた。152回の1回平均採取量は0.21ccであった。1cc中の精子数は,春季に最大(23.6億)を示し,次いで秋季(19.9億),冬季(19億)の順となり,夏季は最小(17.1億)であった。146回の1回平均精子数は1cc当たり20.07億であつた。精液を8°に保存した場合の精子の生存時聞は,5月に最長(119時間)で,次いで4月•9月の順となり,季節的には春季に最長であつたが,年間で大きい変動はみられなかつた。睾丸の組織学的観察においては,3月の材料に最も旺盛な造精現象がみられ,8月の材料では精細胞の顕著な退行像が認められた。以上のことから,鶏の造精機能は春季(ことに4月)に最も活発であり,夏季(特に7•8月)に著しく低下するものと認められる。なお精液量•精子数の多少について,個性選抜の可能性が暗示された。
- 社団法人 日本畜産学会の論文