家畜のOxygen pulseに影響する諸要因について
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概要
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家畜のWgrk capacityならびに疲労度判定の有力な一指標となりうると思われる。O<SUB>2</SUB> pulseは, その性質上, 影響を及ぼす要因がかなりあると思われる。これら要因のうち, 気温, Training, 労役ならびに新陳代謝機能の低下は, とくに大きな影響を与えると思われるので, 去勢成山羊5頭 (正常山羊3頭, 甲状腺除去山羊2頭) を用いて, これら4要因のO<SUB>2</SUB> pulseへの影響を休息時および労役時について検討し, 次の結果を得た。<BR>1. 正常時 (気温15°〜24℃) における正常芸勢山羊の休息時O<SUB>2</SUB> pulseは, 平均0.073±0.010cc/kgB.W.で, この山羊は従来労役試験に長らく供用して来たためか, 他の研究者の得た数値よりもやや高い数値を得た。<BR>2. 気温が24℃以下であれば, 休息時O<SUB>2</SUB> pulseへの気温の影響はほとんどないようであるが, 25℃以上の高温となると, 脈搏数が減少するため, 休息時O<SUB>2</SUB> pulseは高く出る傾向がある。<BR>3. Trainingによつて休息時O<SUB>2</SUB> pulseは次第に高まる。これは脈搏数が次第に減少するためと思われる。<BR>4. 甲状線を除去して新陳代謝を低下させた去勢山羊の休息時O<SUB>2</SUB> pulseは平均0.064±0.009cc/kgB.W.で, 正常山羊と比べてかなり低い。<BR>5. 25℃以上の高温日の労役は, O<SUB>2</SUB> pulseにかなりの影響を及ぼし, 労役終了直後の上昇率を下げ, 終了後30分目, 60分目の低下率を大きくする傾向がある。これは高温日には家畜のWork capacityが低下し, 疲労の増大を来たす一証左ではないかと思われる。<BR>6. Trainingにより, 労役終了直後および終了後30分目, 60分目のO<SUB>2</SUB> pulseは次第に高まる傾向がある。このことは, Trainingにより家畜のWork capacityが向上し, 疲労しにくくなることと関連がありそうである。<BR>7. 労役の量が大となるほど, 労役終了直後のO<SUB>2</SUB> pulseは高く, 労役終了後30分, 60分目のO<SUB>2</SUB> pulseは低くなる。この低下は, けん引仕事量が7,000〜12,000kgmでは, 休息値の約90%, 14,000〜24,000kgmでは約80%となる。この低下率と疲労度との間には密接な関係があるようである。<BR>8. 甲状線を除去して新陳代謝を低下させた山羊は, けん引抵抗が体重の20%の場合は, 40分労役 (けん引仕事量12.000〜19,000kgm) が限度である。この山羊に同抵抗で10分役, 30分労役, 40分労役を課すると, 労役終了直後, 終了後30分, 60分におけるO<SUB>2</SUB> pulseは, いずれの場合でも正常山羊の値を下回り, しかも軽労役でも労役終了後の低下率が大きく, 正常山羊と比べてWork copacityが低く, 疲労しやすいことが容易に推察される。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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