糖類の消化及び吸収に関する研究 : I 白鼠消化管各部位内容液,粘膜磨砕液及び膵臓砕液に依るMaltose, Sucrose及びLactoseの消化力比較試験
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概要
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1 成熟白鼠の消化管各部位粘膜及び内容液を用いて通常使用される糖類,即ちMaltose, Sucrose及びLactoseにつきその消化力を還元力測定により試験した。2 消化管粘膜中小腸のみにMaltose及びSucrose分解の酵素作用が認められ,その作用力は何れの場合も十二指腸粘膜に最も多く,空腸及び廻腸の酵素作用力は十二指腸の1/2〜1/3程度であつた。3 Sucrose分解酵素はβ-h-fructosid結合を分離しないのでβ-h-fructosidaseとは考えられない。むしろMaltose分解酵素と同様にα-glucosidaseと考えた方が妥当である。4 内容液による消化は,Sucroseに於いては小腸中部以下において,又Maltose分解は上部に於いて盛である。斯様に同一物と思はれる本酵素の異る基質に対する作用力の差は,恐らく作用pH域の相違によるものと考えられた。即ちMaltoseはSucroseよりも酸性域に於いて分解される。5 Lactoseの分解は,微生物の含有する酵素の作用と思はれる盲腸部内容液に於いて発現する以外は(結直腸内容液は微弱乍ら分解力を示すこともある。)全く認められなかつた。6 膵臓には何れの分解酵素も存在しないことが確認された。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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