ウシにおける窒素およびエネルギーの尿中排泄量,メタン生産量,酸素消費量,二酸化炭素生産量,RQおよび熱発生量に伴う誤差の大きさと2,3の性質
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概要
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間接法•開放式の呼吸試験装置によって測定したウシの窒素およびエネルギー代謝量に伴う誤差の大きさと2,3の性質について検討した.1) 尿中への窒素およびエネルギー排泄量に伴う誤差を,枝分れ法により個体間差と試料間差に分けて比較すると,大部分が個体間差によって占められ,これらの測定値の精度を高めるには供試頭数を増すことが有効であるといえる.しかし,尿中ヘのエネルギー排泄量において,試料間差が変動係数として約4%と大きな値を示しており,尿中のエネルギー含量測定方法を検討すべきであると考えられる.2) ガス代謝量は分割区法により,個体間差,日間変動,昼夜間変動,2次誤差および試料間差に分けて検討した.メタン生産量では個体間差が有意でなく,同一処理内•同一個体内の試験回次間差である2次誤差が高度に有意であり誤差の大部分を占めた.3) 酸素消費量に伴う誤差の大部分は個体間差および2次誤差で占められていた.個体間差は2次誤差の約4倍であったが,酸素消費量をMetabolic body size (MBS)あたりに換算するといくぶん小さくなった.また昼夜間差が有意であり,酸素消費量の測定は1日を単位として行うべきであることが示された.4) 二酸化炭素生産量では,個体間差および2次誤差が共に有意であったが,著しい特徴は,処理と昼夜間差の交互作用が有意となっていることであり,二酸化炭素生産量の測定は1日を単位として行うべきであり,半日あるいは数時間の測定値からウシの代謝量を推定することは大きな偏りを伴うことが示された.二酸化炭素生産量をMBSあたりに換算しても個体差は小さくならなかった.5) RQおよび熱発生量に伴う誤差は,酸素消費量,二酸化炭素生産量およびメタン生産量に伴う誤差から説明される範囲の大きさであった.算出式を考慮すれば,熱発生量の精度を高めるには酸素消費量の精度を高めることが有効であるといえる.
- 社団法人 日本畜産学会の論文