ウシの消化率に伴う誤差の大きさと2,3の性質
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概要
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ウシを用い全糞採取法によって測定した消化率に伴う誤差の大きさと,2,3の性質について検討した.いわゆる直接法によって求めた消化率に伴う誤差は,それ算出式の性質から,消化率が高くなるに従って小さくなることが示されたが,その減少割合が小さいことおよび消化率一標準偏差の散布図を考慮して,本報では誤差の大きさは一定であるとみなして解析した.消化率に伴う誤差を個体間差と糞のサンプル間差に分けて検討すると,前者は後者の約10倍の大きさであった.このことは,消化率に伴う誤差を小さくするためには糞のサンプルの均一性あるいは分析点数を増すよりも,供試頭数を増すことが有効であることを示しているが,供試牛を1頭増す費用と糞の分析点数を1点増す費用を考慮すれば,分析点数を増すことも経済的に有効であるといえる.ウシの個体差は,文献値に比べて大きいとはいえず,またヒナに比べても大きいとはいえなかった.サンプル間差は化学分析の方法あるいは分析装置個有の誤差範囲内にあり,牛糞についてのサンプル処理法は十分満足すべきものであるといえる.TDNに伴う誤差は乾物あるいは有機物の消化率に伴う誤差とほぼ同程度であった.このことは,TDNは通常可消化の粗蛋白質,粗繊維,NFEおよび粗脂肪から計算されているが,実際は可消化の有機物および粗脂肪から計算されていることから説明された.以上の結果から,消化率,乾物中のDCP,TDNおよびDEについて,供試頭数と測定値の95%信頼巾の関係を示した.また,いわゆる間接法によって求めた消化率に伴う誤差の大きさについても検討した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文