乳牛の分娩前後の血漿ブドウ糖,脂質およびミネラル濃度の変化について
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概要
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乳牛の分娩•泌乳にともなう生理的変化を調べるため,9頭のホルスタイン乳牛を用いて分娩の3週間前から10週間後まで毎週採血して,血漿のブドウ糖•脂質•ミネラル濃度およびアルカリ性フォスファターゼ(Al-P)活性の変化を調べた.1) 血漿のブドウ糖濃度は分娩当日上昇したが,他の時期にはほとんど変化しなかった.2) 遊離脂肪酸(FFA)濃度は分娩直後から3〜4週間後までは乾乳期より高く,その後低下した.泌乳中のトリグリセライド濃度は乾乳期よりも低かった.コレステロールやリン脂質の濃度は泌乳中に徐々に上昇し,またコレステロールのエステル比は分娩直後にわずかに低下した.3) 泌乳中の血漿Caや無機P(i-P)濃度は乾乳期よりも低く,特に分娩時に著しい低下をみた.Mg濃度は一過性に低下した.血漿のK濃度は分娩時に上昇し,泌乳中には乾乳期よりも低かった.またNaやCl濃度も泌乳中に低下する傾向があった.4) Al-P活性は分娩の1〜4週間後に低下し,その後は上昇していた.5) 本実験における血漿ブドウ糖•脂質•Caやi-P濃度の変化は過去の多くの成績と一致するものであり,さらに血漿のNa•K•Cl濃度やAl-P活性も分娩や泌乳にともなって変動することが判明した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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