牛胎仔および新生仔における横隔膜の腹腔臓器,とくに胃に対する付着領域について
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概要
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麻布獣医科大学家畜解剖学教室,相模原市229反芻類においては,腹腔臓器に対する横隔膜の付着様式は,反芻に大きな意味を持つものと思われる.本研究においては,牛胎仔および新生仔を用い,とくに胃に対する付着様式をホルマリン固定した材料および胸腔•腹腔ならびに消化管への合成樹脂注入鋳型標本を観察することによって調べた.横隔膜と食道および胃との接着部では,食道尾側端および噴門部の表面には主として右脚から筋線維が分布していた.胃に対する主な付着は左脚からの筋線維によるものであった.胃に対する横隔膜の付着領域は,前方よりみて逆V型を示す.この逆V型を形成する左右両板のうち右板は,右脚からの筋線維とともに噴門付近を被い,背方に向かって第1胃前房背側面から第1胃背嚢右側背縁に至っていた.この逆V型の左板は第2胃背面より後方に向かい,第1胃背嚢左側背縁および脾臓に至っていた.両板の背後側端における連結部は,胎仔においては非常に薄く,新生仔に至って厚く,広く,強靱となった.これらの両板の間および橋状の連結部の下には,疎性の結合組織を伴なった漿膜に被われた盲管状の空隙があり,それによってその下に位置するいわゆるNICKEL et al.のいうSchleudermagenは常に横隔膜への付着から遊離していた.以上の観察結果は反芻機構の考究に一つの参考所見として役立つであろう.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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深谷 幸作
麻布大学獣医学部解剖学第一講座
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浅利 昌男
麻布獣医科大学獣医学部家畜解剖学教室
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江口 保暢
麻布獣医科大学獣医学部家畜解剖学教室
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鹿野 胖
麻布獣医科大学獣医学部家畜解剖学教室
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深谷 幸作
Shinsei-Shiryo Co.
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金子 家敏
麻布獣医科大学家畜解剖学教室
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江口 保暢
麻布獣医科大学家畜解剖学教室
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浅利 昌男
麻布獣医科大学家畜解剖学教室
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鹿野 胖
麻布獣医科大学家畜解剖学教室
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