冬季における被覆処理が一番茶新芽の成分に及ぼす影響
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概要
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(1)茶樹を白色ポリプロピレン製不織布(商品名:アグリテックス,シーアイ化成)によって冬季にトンネル被覆したところ,被覆下の日最高気温は無被覆よりも8℃から11℃高くなった。日最低気温にはほとんど差がなかった。<BR>(2)被覆区の新芽の遊離アミノ酸含有率が無被覆区と比べて有意に高かった。全窒素含有率には有意な差はみられなかった。<BR>(3)被覆区は無被覆区と比べて新芽数は少なく,新芽重,百芽重は軽かった。<BR>(4)被覆期間中の細根の遊離アミノ酸含有率及び被覆下の成葉の光合成速度は,無被覆区と比べて有意な差はみられなかった。<BR>(5)被覆区の新芽の遊離アミノ酸含有率が無被覆区と比べて高かったことは,萌芽期前後に新芽が低温障害を受けてその後の生育が悪くなり,摘採期に新芽が小さくなったために相対的に高くなったのではないかと考えられた。<BR>(6)遊離アミノ酸含有率が増加する被覆期間は1ヶ月半程度で十分であり,これ以上長い期間被覆しても遊離アミノ酸含有率は増加しなかった。<BR>(7)温度を上昇させる効果が高い資材で冬季に被覆することによって,無被覆とくらべて一番茶新芽の遊離アミノ酸含有率を高めることができるものの,新芽重,百芽重が軽くなった。冬季被覆を実用化させるためには,新芽重,百芽重の減少を防ぐ方法の開発が必要である。また,施肥量を減らした場合,冬季被覆によって新芽中の遊離アミノ酸含有率の低下を防げることを確認する必要がある。
- 日本茶業技術協会の論文