経済発展の歴史自然環境分析 : アフリカと東南アジア比較試論
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概要
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モラル・エコノミーと情の経済学は基本的に低開発論であり, その特徴は低開発を当該社会が充分経済合理性を成熟させず, 非経済的な諸価値に支配されていることに起因させる点にある。非経済的価値の重要性を評価しようとしている点で新しさがあるが, 当該社会がどのような価値に重きを置くかという内的要因の観点から (経済合理性も一つの価値), その経済を論じようとしている点で, 基本的に心理主義的であり倫理的である。したがって, 経済発展の方策は新たな価値観の注入という倫理的心理的教育的な手段しかない。低開発を非経済的価値で説明しようというのはそもそもトートロジーであり, 経済発展も低開発も実に多様な様相をとることが説明できない。小論では, これに対して, 経済的発展も停滞も, 歴史自然環境という外的要因によって説明しうるとする。外的要因数は内的要因数よりもはるかに多数であり, これはそれだけの多様な経済発展と低開発があることにもなる。小論では, こうした分析の一例として, アフリカと東南アジアの比較を試みた。アフリカだけでも4種類の歴史自然環境があることになるが (表), この数は分析のレヴェルにおうじてもっと増やせるし, 東南アジアもさらに細かくわけられる。
- 日本アフリカ学会の論文
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