アフリカに渡った伊万里
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
中世以来, インド洋周辺には大量の東アジア・東南アジアの陶磁器が運ばれている。アフリカ周辺でも紅海周辺や東アフリカ沿岸などで中国の青磁や白磁, 染付が数多く発見されている。そして, 17世紀後半以降, 日本の磁器である伊万里もインド洋周辺に運ばれ, アフリカ周辺で発見されている。アフリカに運ばれた伊万里は, オランダ船で運ばれたものとそうでないものに分けられる。オランダ船は長崎から伊万里をアジア各地の商館に向けて輸出するとともに, ケープタウンを経由してヨーロッパへと運んでいた。オランダの根拠地のあったモーリシャスやケープタウンで発見されている伊万里はオランダ船が運んだものであろう。一方, オランダ船以外の船も東南アジアなどを中継地として伊万里を入手することができた。イスラーム商人などインド洋世界で活動していた商人もまた伊万里をアフリカに運んでいた。アフリカに運ばれた伊万里の資料数はまだ少ないが, 今後の発掘調査で増加する可能性は大きい。伊万里が中国磁器と入れ替わるように輸出され始めた経緯を考えると, 特に中国磁器の出土が数多く確認されている東アフリカ沿岸地域では今後さらに伊万里が発見される可能性が高い。
著者
関連論文
- 伊万里の日本海流通
- カサ・デル・リスコの東洋磁器
- ガレオン貿易と肥前磁器 : マニラ周辺海域に展開した唐船の活動とともに(第3部:アジア・太平洋の海を繋ぐ肥前陶磁,東南アジアの土器と施釉陶磁器)
- 長崎県・福江島水中文化遺産調査
- 澳門遺跡採集陶磁器
- 「海揚がりの肥前陶磁」展
- 青森県むつ市・北海道松前町・上ノ国町・江差町・函館市の水中文化遺産
- バーミヤーン出土のイスラーム陶器
- バーミヤーンの日干しレンガ積み建築の一例
- 一七世紀後半〜一八世紀前半における肥前磁器のアメリカ大陸への流通
- 古陶磁絵具のX線分析
- ベラクルス出土の肥前磁器
- COEセミナー講演録 世界に輸出された有田焼
- 九州のやきもの 太平洋を渡った有田焼
- チョコレートカップの変遷と流通
- 澎湖群島・金門島発見の肥前磁器
- 澎湖群島発見の肥前磁器 (訳 野上建紀)
- アーフォントステル号発見の有田産アルバレロ形壷
- 水中文化遺産の公開と活用について
- バイア海底遺跡見学記
- アフリカに渡った伊万里