Purkinje線維はどこまで心室頻拍に関与するのか
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概要
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脚やPurkinje線維などの下位刺激伝導系組織が,様々な病態に合併する心室頻拍(VT)や心室細動(VF)の発生,あるいはその持続にも関与していることがわかってきたのは,カテーテル・アブレーションが行われるようになってからである.1980年代以前は,動物実験,とりわけ心筋梗塞モデルにおいてPurkinje線維の役割がさかんに研究されてきたが,臨床ではあまり注目されずもっぱら梗塞心筋あるいは瘢痕部周囲でのリエントリー性頻拍に研究の矛先が向いていた.臨床でPurkinje線維の役割が再認識されたのは,特発性左側心室頻拍(ILVT)に対するアブレーションが行われるようになってからである.いわゆるBelhassenVTあるいはVerapamil感受性VTとも呼ばれる頻拍に対してアブレーションの標的組織を検索するために,心内電位を詳細に検討したところ,Purkinje線維由来と考えられるPurkinje(P)電位の記録可能な領域からのアブレーションに成功することから,Purkinje線維が関与する頻拍と考えられた1)〜3).現在は,本頻拍の機序は束枝内リエントリー性頻拍(fascicular VT:束枝VTともよばれる)とされているが,実は本頻拍回路の全貌はいまだ解明されていない.その後,梗塞急性期や虚血性心筋症患者にしばしば出現する反復性多形性VT4)〜6)や,Brugada症候群7)など特発性VFの誘因となる心室期外収縮(PVC)がPurkinje線維起源であることが報告されアブレーションの標的となった.特に前者はstormを形成することがあるものの,Purkinje線維がVTの持続にも関与する可能性が指摘されている.以上の頻拍のほかに,下位刺激伝導系が関与する不整脈に脚間リエントリー,脚枝間リエントリー性頻拍,刺激伝導系からの自動能亢進などがあげられるが,これら下位刺激伝導系が関与する頻拍,いいかえればP電位や脚電位が記録しうる場所からアブレーションが成功する頻拍をPurkinje不整脈と総称する.本稿ではこれらのPurkinje不整脈の機序,アブレーション法,さらには基礎疾患の多様性について解説する.
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