組織学的にcentrilobular zonal necrosisを呈し,ステロイドが著効した肝障害の2例
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概要
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症例1は60歳の男性で,症例2も70歳男性.いずれも自覚症状がなく,偶然の機会の採血で肝機能異常を指摘され当科を初診した.両症例ともに薬剤・ウイルスの関与は否定的で,肝生検では自己免疫性肝炎(AIH)の特徴とされる慢性活動性肝炎の像は認められず,centrilobular zonal necrosis(CZN)のみを認めた.血清学的にはIgG値は正常範囲内で,各種自己抗体もほとんどが陰性で,AIHを積極的に示唆する所見に乏しかったが,ステロイドの投与が著効し,特に症例1では投与を中止すると肝機能は悪化したことから,病態には何らかの免疫異常の関与が疑われた.CZNをAIHの初期像の一つとする意見があるが,血清学的にAIHに合致しない症例もあり,結論が得られていないが,この2症例は病態の解明に若干の示唆を与えるものと考えられた.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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- To the Editor
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