妊娠に合併した卵巣腫瘍に対する開腹手術と腹腔鏡下手術との比較検討

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従来は，妊娠中の卵巣腫瘍に対して，脊椎麻酔下に開腹手術が行われていた．しかし，増大した妊娠子宮が視野の妨げになり，開腹創が大きくなったり，術後の回復も遅れがちとなる．最近は，低侵襲性手術の観点より，妊娠中に腹腔鏡下手術で卵巣腫瘍摘出術が行われるようになってきた．当科でも過去9年間に妊娠中の卵巣腫瘍の手術が34例あり，28例が脊椎麻酔下での開腹手術を，6例は全身麻酔下に腹腔鏡下手術を行った．これらの症例について腫瘍径，手術時妊娠週数，手術時間，出血量，術後入院日数，術後1日目のCRPについて比較検討を行った．腹腔鏡下手術の症例では，腫瘍径は平均7.6cm，手術時の妊娠週数は平均13週0日，手術時間は平均84.2分，出血量はどの症例も少量で，術後入院日数は平均6.3日，術後1日目のCRPは平均0.83であった．開腹手術の症例は，腫瘍径は平均8.6cm，手術時の妊娠週数は平均15週4日，手術時間は平均57.7分，出血量は平均76.5g，術後入院日数は平均8.9日，術後1日目のCRPは平均1.82であった．この2群を比較すると，出血量，術後入院日数，術後1日目のCRPに有意差を認めた．以上より，腹腔鏡下手術は，開腹手術に比べて，全身麻酔が必要で，手術時間は若干長くなる傾向はあるが，有意に出血量が少なく，術後入院日数も短く，術後の炎症反応も軽くなるため，有用な手術法であると考えられる．〔産婦の進歩62（1）：1-6，2010（平成22年2月）〕

妊娠に合併した卵巣腫瘍に対する開腹手術と腹腔鏡下手術との比較検討

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