アルコール消毒薬のノンエンベロープウイルスに対する有効性改善策
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
現在,アルコールベースの消毒薬は手指衛生において重要な役割を担っている.しかし,臨床的なニーズを充足できていない点も有している.その一つとして,近年その感染拡大が社会問題となっているノロウイルスなどのノンエンベロープウイルスに対する薬効が挙げられる.今回,我々はアルコールに有機酸と亜鉛化合物を組み合わせた処方を用いノンエンベロープウイルスに対する薬効(in vitro)と皮膚刺激性(in vivo)に着目した検討を行った.アルコールに有機酸を添加した処方では,ネコカリシウイルスに対して接触時間30秒以内に4 log以上の不活化効果を示したが,アデノウイルスに対しては消毒用エタノールと同程度の薬効であった.一方,アルコールに有機酸と亜鉛化合物を添加した場合,ネコカリシウイルスとアデノウイルスの両ウイルスに対して30秒以内に4 log以上の不活化効果を示し,消毒用エタノールよりも優れた薬効を示した.また,ウサギ皮膚を用いてこれら処方の皮膚刺激性試験を実施した結果,アルコールに有機酸と亜鉛化合物を組み合わせた場合,刺激をほとんど示さないことが明らかとなった.このように,アルコールに有機酸と亜鉛化合物を組み合わせた処方は,ノンエンベロープウイルスに対して従来にない有効性を示すと共に,スキンケアの観点から皮膚への刺激にも配慮した新しいアルコールベースの消毒薬を創出できる可能性が示唆された.
著者
関連論文
- アルコール消毒薬のノンエンベロープウイルスに対する有効性改善策
- 新規アルコール手指消毒薬MR06B7の有効性評価
- アルコール消毒薬のノンエンベロープウイルスに対する有効性改善策
- Waterless手術時手指消毒法の有用性
- 日本国内における消毒剤の薬効評価法標準化に向けた取り組み : 米国の手指消毒剤の効力評価試験法を参考にして
- Waterless 手術時手指消毒法の有用性
- 手指消毒剤 手指消毒の最近の動向