菲薄性基底膜症候群の臨床的観察:——多施設でのアンケート調査から——
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概要
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電顕的に診断された菲薄性基底膜症候群について,アンケート調査による臨床的検討を行った。(1)全国42施設にアンケート調査表を送付し,34施設 (81.0%) から回答を得た。(2)家系に腎疾患歴を有するI群73家系87例と,孤発例と考えられるII群26家系26例について検討した。(3)I群の腎疾患家族歴のうち,腎不全歴は5家系5例に,腎死は1例に認められた。(4)性別,発症年齢,最終年齢,平均観察期間,発見動機,初診時ならびに最終観察時の検尿・BUN・Cr,初診時と最終観察時の諸検査の推移については,両群間で差は認めず,腎機能低下例はなかった。(5)感染罹患に伴った尿所見悪化例は,I群29.9%,II群30.8%であった。(6)尿所見改善例はI群で9例認め,うち女性が8例であった。(7)投薬例 は,I群17.2%,II群23.1%で,いずれも積極的な治療は施行されていなかった。以上より,本疾患の中・長期的予後は,良好であることが示唆された。
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