耳鼻咽喉科臨床の進歩 : —咽頭・喉頭癌の新しい内視鏡診断—
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概要
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NBI内視鏡は新たな画像診断機器として耳鼻咽喉頭頸部領域の表在癌をはじめ早期癌の診断, 進行癌での周囲浸潤範囲の診断に極めて有用である. NBI内視鏡では上皮乳頭内毛細血管ループ (IPCL; Intra-epithelial papillary capillary loop) の拡張がブラウンスポットとなり, IPCLのパターンとこのIPCLの集まったところに境界があり, 領域性が明らかな場合ブラウンエリアと表現され, その境界での樹枝状血管の断絶が明瞭であるか否かなどにより表在癌が診断される. このようにして咽頭・喉頭を観察すると, これまで癌と診断できなかった小さい腫瘤もはっきり癌と認識できる. また発赤と思われていた粘膜がNBI内視鏡での観察によりIPCLの集まりであることが明らかになり癌と診断することも可能であり, 今までと異なり, 画像パターンにより癌を視認することが可能となった. また進行癌でも隆起したり, 潰瘍を形成しているところだけではなく, 表在性に腫瘍が浸潤している周辺の病変なども容易に診断することが可能で, その有用性は極めて高い. このように映像診断が進歩し, デジタル画像処理を行うことでより病態を明瞭にすることが可能となり, 小さい病変, 早期の病変などを容易に診断することができるとともに耳鼻咽喉科領域の他の疾患に対しても新しい診断法となった.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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