細胞内寄生性リステリアの病原因子による宿主免疫応答の誘導機構 : ―生菌免疫の作用機序へのアプローチ―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
リステリア(Listeria monocytogenes)に代表される細胞内寄生性細菌に対する宿主感染防御免疫は生菌免疫でしか成立せず,死菌免疫では無効であるが,その理由は不明であった。この素朴な疑問を何とか解明したいと思いながらマウスを用いた感染免疫の研究を続け,リステリアの産生する主要な病原因子であるリステリオリシンO(LLO)タンパクのN末端をマクロファージ内で自然免疫機構が認識し,各種サイトカインの発現誘導が起こるとともに,カスパーゼ1の活性化が誘導されることでIL-18が成熟分泌され,NK細胞依存的なγインターフェロンが免疫初期に産生されることによってエフェクターTh1細胞の分化誘導が起こることを見い出した。細菌のタンパク毒素が宿主サイトカイン誘導に必須の働きをすること,そのことで生菌免疫の有効性が説明できることは新たな概念であり,その発見の背景,粗精製タンパクを用いた実験成績,リコンビナントタンパク標品による証明,LLO遺伝子の組換え変異株による解析など,筆者の研究の歴史を追ってまとめてみた。
著者
関連論文
- 微生物における自然・獲得免疫機構に関する研究
- 細胞内寄生性リステリアの病原因子による宿主免疫応答の誘導機構 : ―生菌免疫の作用機序へのアプローチ―
- 肺炎球菌が産生するサイトリジンのドメインと生物活性
- 「感染症に対する新たなワクチン利用・開発の研究」
- 結核症における感染防御機序
- 結核基礎研究の最前線
- リステリア菌のヘモリシンタンパクによる膜傷害依存性サイトカイン応答誘導機構
- 微生物感染症の発症機構と宿主応答
- 微生物感染症の発症機構と宿主応答
- 結核基礎研究の最前線
- 感染症の発症機構と予防に関する研究
- 第75回総会シンポジウム III.細胞内寄生菌の感染機序と免疫防御
- 細胞内寄生性リステリアの病原因子による宿主免疫応答の誘導機構 : 生菌免疫の作用機序へのアプローチ
- リステリア属菌によるサイトカイン応答誘導におけるマクロファージ内エスケープの意義
- 結核免疫学の動向と課題
- 21世紀における感染症の捉え方 3. 多剤耐性化と病原性の変容
- 細胞内寄生菌のエスケープ機構とbacterial modulin
- グラム陽性菌の溶血性タンパク毒素に対するマクロファージのサイトカイン応答と感染防御
- 細胞内寄生性細菌リステリアの病原因子と宿主応答
- 細胞内寄生菌のエスケープ機構とbacterial modulin
- 感染症における宿主・寄生虫の攻防研究集会報告 3 リステリアのエスケープ因子の菌側、宿主側にとっての異なる役割
- リステリオリシンOの膜傷害活性とサイトカイン産生誘導
- 微生物感染症の発症機序と宿主応答 -リステリアの病原因子と宿主応答についての解析-