助産師偏在化の原因究明 : ─ 京都府下の助産師・医師・看護師の意識調査を通して ─

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【目的】わが国においては産科医不足により，周産期医療をとりまく環境は厳しくなっていることは周知の事実である．全国規模で分娩取り扱い施設数の減少は顕著であり，同時に助産師不足も指摘されている．その原因として，絶対的な数不足と同時に就業場所の偏在が問題化している．本研究では，助産師の職域や職能，勤務の現状，職能発揮に関する評価を多角的に調査し，この原因究明を目的とした．【方法】京都府下の分娩取り扱い施設（36病院，33診療所）の助産師，医師，看護師を対象としてアンケート調査を行った．その結果を病院と診療所の間で比較検討した．【成績】24病院（助産師190名，医師71名，看護師128名），11診療所（助産師39名，医師10名，看護師47名）から回答が得られた．助産師業務の理想的な勤務時間配分（妊娠期，分娩期，産褥期，新生児期，婦人科，その他の各期に従事する時間）は，助産師の回答では両施設とも分娩期が30％前後で大きな差異はみられなかったが，実際の勤務時間配分では病院20.7％，診療所43.2％と，明らかな差が認められた．病院では医師，看護師ともに助産師と同様であったが，診療所の医師では26.2％と助産師と異なっていた．また助産師が満足している点は，両施設とも他職種からもほぼ同様と推察されていた．一方，不満足な項目においては，助産師は両施設ともに「妊婦への保健指導」など妊産婦への関わりが不十分な点を挙げており，病院の医師，看護師も助産師の不満を大筋で理解していた．しかし診療所の医師では「施設の規模」「福利厚生」，看護師では「勤務体制」「緊急時のケア」など，助産師業務そのものよりも勤務環境に不満があると類推し，助産師が不満とする点への理解が乏しかった．【結論】助産師の偏在化は，現在の助産師業務などに対する助産師自身の評価と他職種からみた評価との相違によって起こっている可能性が示唆され，助産師が不満に思う点やニーズを，他職種が正確に把握することが解決の糸口になるのではないかと推測された．〔産婦の進歩61（2）：90-98，2009（平成21年5月）〕

助産師偏在化の原因究明 : ─ 京都府下の助産師・医師・看護師の意識調査を通して ─

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