両親媒性ゲルの極性溶媒中での膨潤のキネティックス
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
両親媒性のN,N-ジメチルアクリルアミドゲルの種々の極性溶媒中における膨潤速度を測定し,これらを溶媒中でのネットワークの体積分率φeから簡便に推定する方法を検討した.ゲルの合成は4種類の異なるモノマー濃度で行った.膨潤速度の測定は,10種類の極性溶媒中で種々の温度で行った.膨潤速度はネットワークの協同拡散係数0で評価した.これらの極性溶媒中でのゲルネットワークの体積分率は0.039–0.23の範囲にあった.まず,スケーリング則による協同拡散係数の整理を試みた.協同拡散係数DはTφe3/4/ηに比例した.ここで,Tおよびηはそれぞれ溶媒の温度および粘度である.比例係数は温度およびゲル組成には依存しなかったが,溶媒に依存した.次に,Floryの弾性の理論を用いた整理を試み,協同拡散係数Dが(Tφe1/3φ02/3)/(ηφe3/2)に比例することをみいだした.ここで,φ0はランダムウォーク状態におけるゲルネットワークの体積分率である.比例定数は溶媒,温度には依存しなかったが,ゲル組成に依存した.以上の事実から,これら2つの関係を用いると,本研究で検討したφeの範囲では極性溶媒中での両親媒性ゲルの膨潤速度が容易に推定できるといえる.
- 2003-01-20
著者
-
迫原 修治
広島大学大学院工学研究科
-
高谷 幸平
広島大学大学院工学研究科 物質化学システム専攻
-
瀧岡 大哲
広島大学大学院工学研究科 物質化学システム専攻
-
二階 照夫
広島大学大学院工学研究科 物質化学システム専攻
関連論文
- 材料・界面
- 感温性ポリマーの親・疎水転位を利用した懸濁粒子の凝集メカニズム
- 材料・界面
- 反応性界面活性剤を利用した感温性ゲル微粒子の合成
- 両親媒性ゲルの極性溶媒中での膨潤のキネティックス
- 無機多孔質薄膜の細孔内に担持したアクリルアミドゲルによる水/エタノール混合液の分離特性-ゲルを支持する無機薄膜の細孔径の影響-
- ジメチルアクリルアミドゲルを担持した無機多孔質薄膜による有機溶媒混合液の分離
- 無機多孔質薄膜に担持したアクリルアミドゲルによる水/エタノ-ルの分離特性--水の透過流束に及ぼすゲルの繰返し担持の効果
- 感温性ポリマーによる高濃度懸濁液の凝集・圧密
- 感温性多孔質高分子ゲルの転移温度制御と有機スラリー脱水への応用
- 酸化亜鉛ナノ粒子の液相合成 (特集1 未来を創出するナノプロセッシング)
- 複合化感温性多孔質ゲルを用いた有機スラリーの濃縮 (特集 注目されるゲルテクノロジーの応用)
- 合成温度の段階的制御による感温性多孔質ゲルの合成
- 感温性多孔質ゲルの生成および膨潤・収縮特性に及ぼす合成条件の影響
- 長鎖の疎水性側鎖をもつ感温性多孔質ゲルの構造制御と温度応答性
- 相分離を利用した感温性多孔質高分子ゲルの合成とその構造制御 (特集 分子・粒子テクトニクス)
- 長鎖の疎水性側鎖の結晶化を利用した多孔性ポリマーの合成
- 多孔性無機薄膜に担持したメタクリル酸エステルゲルによるベンゼン/シクロヘキサン混合液の分離
- スポンジ状感温性ゲル--工業的分離媒体への応用を目指した簡便な合成法
- 多孔性無機膜に担持したメタクリル酸ジメチルアミノエチルゲルによるベンゼン/シクロヘキサン混合液の分離
- 感温性ゲルを用いた分子認識吸着材 (特集 高度にデザインされた吸着材)
- 感温性ゲルを用いた重金属の新規な温度スイング固相抽出法の開発 (特集 イノベーションの創生と開発技術)
- ECO TECHNOLOGY 分子インプリント感温性ゲルを用いた温度スイングによる重金属の選択的吸着分離技術
- 分子インプリント感温性ゲルを用いた温度スイング操作による重金属類の吸着分離 (第41回下水道研究発表会講演集 平成16年度)
- 分子認識型感温性ゲルを用いた重金属の吸着分離 (特集 注目されるゲルテクノロジーの応用)
- 感温性多孔質高分子ゲルを用いた下水汚泥の脱水 (第40回下水道研究発表会講演集 平成15年度)
- 感温性ポリマーの親・疎水転移を利用した固液分離法
- 感温性高分子ゲルを用いた新規な物質分離法