Fluid mudの特徴とその地層解析における役割
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概要
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Fluid mudは高濃度のサスペンジョン粒子(>10 g/L)を含む泥質流体で,(1)潮汐作用が卓越する堆積環境における濁度極大の発達や,(2)高濃度の細粒砕屑粒子を伴う洪水流の沿岸域への流出などによって形成される.Fluid mudの堆積により形成される泥質堆積物は,堆積構造に乏しく,1つの堆積ユニットの厚さは1 cm以上に達する.また,fluid mud堆積物の粘土粒子ファブリックは,「粒状構造」によって特徴づけられることが明らかとなった.従来,波浪作用の卓越する沿岸−浅海域で形成された砂質堆積物に伴って発達する厚い泥質堆積物は,より沖合の堆積環境で形成されたと解釈されてきた.しかし,このような泥質堆積物の中には,砂質堆積物と同じ堆積環境で形成されたfluid mud堆積物が多数含まれる可能性がある.したがって,地層からfluid mud堆積物を的確に識別することで,堆積環境や堆積プロセスをより高精度で復元できると考えられる.
- 日本地質学会の論文
著者
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西田 尚央
産業技術総合研究所地質情報研究部門
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伊藤 慎
千葉大学大学院理学研究科地球科学コース
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西田 尚央
千葉大学大学院・理学研究科地球生命圏科学専攻
-
西田 尚央
千葉大学大学院理学研究科地球科学コース
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