長時間作動型吸入β_2刺激薬キシナホ酸サルメテロール
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概要
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β2刺激薬は,気管支拡張作用により喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の呼吸困難を効果的に軽減することから,既に多くの化合物と製剤が研究開発され臨床使用されている.製剤には経口剤,貼付剤,ネブライザーとして使用する液剤,注射剤および吸入剤があり,定期的に使用して症状の発現やその程度を軽減させる維持療法,発作発現時の発作治療,救急外来受診や入院時の急性増悪時の治療,運動誘発性喘息の予防などと幅広く利用されている.喘息,COPDともに慢性疾患で外来処方による薬物療法が重要なことから,β2刺激薬の研究開発の主体は維持療法であり,β1受容体の刺激による心血管系への影響を少なくすることと,長時間持続する効果が得られることが長年の課題であった.サルメテロールは,β2受容体に長時間結合させることにより12時間持続する気管支拡張効果に改良したβ2刺激薬で,製剤はキシナホ酸塩としたサルメテロールを標的部位の気道に直接デリバーするドライパウダータイプの吸入剤である.サルメテロールの研究は,従来のβ2刺激薬のように血中濃度の持続時間を長くするという血液薬物動態学的な改良ではなく,Receptor Pharmacokineticsという新しい概念とアプローチにより発見された化合物である.すなわち,グラクソ·スミスクラインの研究陣は,化合物をβ2受容体の非活性部位に結合させれば活性部位の結合を長くすることできると考え,ユニークな化学構造式を有するサルメテロールを発見した.臨床評価においても,これまでは他の薬剤との比較が中心であったが,これだけに留まらず,喘息やCOPDの患者の有益性が得られるように,他の薬剤と併用時の有効性や安全性が十分に検討されている.喘息治療では,サルメテロールと吸入ステロイド薬との併用効果,COPD治療では,抗コリン薬やテオフィリンとの併用効果も確認されている.このように他の薬剤との併用時の臨床評価は,薬理学的研究とともに今後益々重要な流れになっていくものと考えられる.
- 2003-09-01