吸入剤の研究開発の進めかた : 特に吸入剤特有の包括的な評価
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概要
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吸入剤の主な目的には, 他の投与経路では達成できないすぐれた効果, 安全性, 持続性, 迅速な効果などがある. このため, 吸入剤の研究は古くから進められているが, 吸入剤には化合物, 製剤処方, 吸入器および吸入剤から放出される空気動力学的粒子径が複雑に関連しており, これまで一定の解釈が困難であった. しかし, 吸入ステロイド薬の最近の基礎的および臨床的研究報告からこれらを包括的に評価することにより, 吸入剤の臨床的な特性を推測可能な段階になっている. 特に空気動力学的粒子径と粒子の気道·肺胞部位の付着は, 臨床効果だけでなく安全性に関連している. 空気動力学的粒子径が大きすぎると口腔内に多く付着し, 小さくしすぎると肺胞部位に多く付着するような特性がある. また, 肺胞部位に多く付着する吸入剤は肺内総沈着率も高くなり, 同時に全身への吸収が迅速になることもわかってきている. このことから, 治療目的に応じて適切な空気動力学的粒子径になるように吸入剤を研究開発することが重要となる. 吸入剤は, 動物試験ではヒトと同様に吸入できないという制限があり, 製剤化した吸入剤は, 主に空気動力学的粒子径による理化学的な評価とヒトにおける薬物動態による評価により行うことになり, これらの結果により, 臨床試験において治療目的を達成できるかどうかを推定することが可能となっている.
- 日本DDS学会の論文
- 2005-11-10