キャンディン系抗真菌薬ミカファンギンナトリウム(ファンガード^【〇!R】)の抗真菌作用および臨床効果
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概要
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ミカファンギンナトリウム(以下,ミカファンギン,商品名:ファンガード)は,リポペプチド系抗真菌物質の誘導体合成研究により創出されたキャンディン系抗真菌薬である.ミカファンギンは,真菌細胞壁の主要構成成分である1,3-β-glucanの生合成を非競合的に阻害し,深在性真菌症の主要起因菌であるCandida属およびAspergillus属に対して優れた抗真菌活性を示した.その作用様式はCandida属に対して殺菌的であり,A. fumigatusに対しては菌糸先端部破裂による菌糸発育阻止作用であった.また,ミカファンギンはCandida属の主要菌種およびA. fumigatusによる各種マウス感染モデルにおいて,アゾール系抗真菌薬よりも優れ,アムホテリシンBとほぼ同等の感染防御効果を示した.国内における臨床試験ではアスペルギルス症に対して57.1%,カンジダ症に対して78.6%の総合臨床効果が得られた.副作用は17.9%に認められたが,その程度は軽度または中等度で,用量依存的に発現する副作用やミカファンギンに特徴的な重篤な副作用は認められなかった.これらの基礎および臨床試験成績からミカファンギンはAspergillus属およびCandida属による深在性真菌症に高い有効性を有し,かつ安全性に優れ,これら深在性真菌症の第一選択薬として幅広い病態の患者に使用できる薬剤と考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2003-10-01
著者
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