モリブドバナドリン酸塩/酸素系を利用した不飽和炭化水素類の酢酸パラジウム(II)による酸化反応
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
モリブドバナドリン酸 (HPMoV) およびそのアンモニウム塩 (NPMoV) は, Pd(OAc)2に触媒されたアルケンやアレーンの分子状酸素を用いる酸化反応における効果的な再酸化系である。たとえば, 種々のシクロアルケン類の3-アセトキシ-1-シクロアルケンへのアセトキシル化はPd(OAc)2/NPMoV/O2系にヒドロキノンを組み合わせることによって高収率で進行した。シクロヘキセンやスチレンの対応するケトンへの酸化は, エタノールと水の混合溶媒中で同様の触媒系により, それぞれシクロヘキサノンとアセトフェノンを中程度または良い収率で与えた。また, アクリル酸エチルやアクリロニトリルのような一置換アルケンは同触媒系によりアセタール化を受け, 対応するアセタールを定量的に与えた。本触媒系による長鎖末端アルケンのワッカー型酸化は少量の塩化物イオン存在下で行うことにより成功裏に達成された。たとえば, 1-オクテンの酸化は2-オクタノン (83%) を主生成物として与え, 望まれざる3-オクタノンはわずか1% 以下しか生成しなかった。ケトンの位置選択性と収率はアルケンを反応系に滴下することで改善されることがわかった。このPd(OAc)2/NPMoV/O2系はアルケンのカルボメトキシル化の良好な酸化系としても働いた。すなわち, シクロペンテンは一酸化炭素 (0.5 MPa) と空気 (0.5 MPa) の混合ガス下でカルボメトキシル化され, cis-1,2-およびcis-1,3-シクロペンタンジカルボン酸ジメチルを良好な収率で与えた。ベンゼンのビフェニルへの酸化的カップリング反応は分子状酸素下でPd(OAc)2にHPMoVを組み合わせることで90℃ で行われた。Pd(OAc)2のターンオーバー数は最大で109に到達し, ビフェニルの収率はベンゼン基準で14.3% であった。
- 2003-01-01
著者
関連論文
- モリブドバナドリン酸塩/酸素系を利用した不飽和炭化水素類の酢酸パラジウム(II)による酸化反応
- ランタノイド錯体触媒を用いるオキシムエステルのシアノ化反応
- 分子創成と分子素子の開発 (産学連携への掛け橋)
- ε-カプロラクタム前駆体の新規合成法の開発 (特集 プロセス化学--先端研究開発の展望)
- Ir触媒を用いた環境調和型合成手法の開発 (特集1 次世代錯体化学の新展開)
- Ir触媒を用いるケトンとアルコールからの新規ケトン合成
- 脂溶性N-ヒドロキシフタルイミド類を触媒とするシクロヘキサンの無溶媒空気酸化
- 飽和および不飽和炭化水素の官能基化技術の開発と利用
- イリジウム錯体を触媒に用いる新規合成法の開拓
- 研究開発情報 N-ヒドロキシフタルイミド触媒の開発と応用
- 〔高圧ガス〕用語解説 NHPI触媒
- アルカン酸化法の革新アジピン酸の一段合成
- 炭化水素類の高能率官能期化法の開発 (産学連携への掛け橋)
- サマリウム化合物を触媒とする合成反応の開発
- N-ヒドロキシフタルイミドをラジカル触媒として用いる新酸素酸化法の開発
- N-ヒドロキシフタルイミドをラジカル触媒として用いる新酸素酸化法の開発
- ヘテロポリ酸を用いる均一系酸化反応
- 混合配位型ヘテロポリ酸塩を触媒とする酸素酸化反応
- 新しい高効率酸素酸化反応触媒の開発と応用
- ヘテロポリ酸を用いる均一系酸化反応
- 混合配位型ヘテロポリ酸塩を触媒とする酸素酸化反応
- 触媒的炭素ラジカル生成法の創出と合成反応への利用
- まえがき
- ヘテロポリ酸触媒を用いる過酸化水素酸化