固体塩基触媒 : 塩基点の発現, キャラクタリゼーションおよび触媒作用
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概要
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我々の研究室で行ってきた固体塩基触媒の研究をまとめた。多くの固体塩基触媒では,高温の前処理により表面から水とCO2を除去することによって強い塩基点が発現する。塩基点の性質は前処理の過酷さにより変化する。前処理中に,水とCO2の除去とともに表面とバルクの原子の再配列が起こる。最適な前処理温度は反応の種類により変わってくる。 塩基点のキャラクタリゼーションとして,指示薬法,CO2の昇温脱離法,MgO表面酸素とCO2の交換,133Csおよび19FのNMRについて述べた。 次の反応に対する固体塩基の触媒作用について述べた。(1)二重結合移行,(2)水素化,(3)アミノ化,(4)アルドール付加,(5)ニトロアルドール反応,(6)Michael付加,(7)アルコールの共役付加,(8)シアノエチル化,(9)酢酸エチルのトランスエステル化とプロピレンオキシドのアルコール分解,(10)Tishchenko反応。 種々の反応について,アルカリ土類酸化物の活性序列,MgO触媒の最適前処理温度および表面に多量の水酸基が存在する673 K処理の活性に基づいて,有効な塩基点の強度について検討を行った。炭化水素の反応には強い塩基点が必要であるが,官能基を持つ化合物の反応には弱い塩基点でも有効である傾向が見られた。 最後に,固体塩基触媒の重要な課題を提示した。
- 2004-03-01
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