黄色致死と黄色体との連関, 特に黄色致死の母親遺傳について
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概要
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1. 黄色致死系 B1 と正常との交雑 F1, F2 の分離の結果から, leml(ly-2) は ly-1 と同様に単純劣性遺伝子であると考えられる.2. 黄色致死系と黄体色系との F1 9区中6蛾区では, 正常蚕と黄体色蚕との 1:1 の比に分離した.3. F1 の正常同志を交配した F2 には正常:黄体色が 3:1 の比に現われ, その子孫に黄色致死蚕は現われない.4. F1 の黄体色同志を交配せる F2 はすべて黄体色蚕のみを生じ, 第1眠起黄色致死蚕は分離しない. しかし特徴ある死卵が総卵数の約1/4現われる. この卵中には黄褐色の蟻蚕を生じているが, これは卵殼を食い破れないため餓死する. この卵を仮に黄色死卵と名付けた.5. F1 黄体色蚕の F3, F4 などの後代には黄体色蚕のみを生じ, leml ホモの個体はすべて卵内にて致死し黄色死卵となる.6. 正常 (+/leml) と黄体色 (lem/leml) との交雑では正逆交雑により, leml ホモの個体の致死時期が判然と異なり, 正常を母体とすれば第1眠起黄色致死蚕が分離し, 黄体色を母体とすれば黄色死卵を分離する. すなわち黄色致死は致死時期に関し母親遺伝をなす.7. +lem, lem, leml の3遺伝子は複対立遺伝子群を構成し, これらの優劣関係は +lem>lem> leml の如くである.8. 黄色致死の原因および黄色致死の母親遺伝の機構には, キサントプテリン B, メラニン, 尿酸などの代謝の間の因果関係, さらにメラニン形成と外皮硬化との因果関係などが重要な要素となつていることが考えられ, これらに関する生化学的な実験を目下続けている.
著者
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