家蚕のE遺伝子群の発生遺伝学的研究 : 新遺伝子 EMS および EMC の作用
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概要
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1. 新多星紋遺伝子 EMs およびそれから低頻度で生ずる Mc 重い形遺伝子 EMc の遺伝的特性およびこれらと重い形蚕 ECa, D 過剰半月紋蚕 ED, 過剰斑紋過剰肢蚕 EEl, H過剰半月紋蚕 EH, Kp 過剰肢蚕 EKp および新重い形蚕 EN などの間の遺伝子相互作用について発生遺伝学的見地より検討した.2. EMs および EMc の致死作用は相当強く, EMc ホモおよびヘテロの個体の一部は, 第10および11体節に過剰肢を生じて催青期あるいは孵化直後に致死する. また EMc ホモの個体は背面の3〜4体節が融合して不反転胚子となり, 殆ど各体節に胸肢様突起を生じて催青期に致死する.3. EMs/EMc, EMs/EN, EMc/EN, EMc/ECa, EMc/ECa および EMs/ED の各ヘテロの胚子は全部催青期に致死し, その他のヘテロの個体も卵内でかなり高い致死率を示した. 殊に EMs および EMc を雄がけすると, その反交の場合より致死率が著しく高くなる. これは第VI染色体のE部分の異常恐らく逆位が原因ではないかと思われる.4. 各ヘテロの致死胚子についてその形態を観察した結果, 外部形態の異常な胚子の出現頻度は変異が多く, 1.7〜25.4%に亘つた. 異常胚子の形態から, 遺伝子間の相互作用を分けると, 誇張表現, 抑圧表現, および新形質発現の3型となる.5. 第 VI 染色体上の E 列はある長さをもち, そこに同方向に少しずつ異つた働きをなすいくつかの遺伝単位が相隣接して列ぶ複雑な構造をもち, その組成の変化により, 各種のいわゆるE 列遺伝子を生ずるものと考えられる. 更にかような複雑な内部構造をもつ各遺伝子が, ヘテロの接合型となるときは, その相互作用の結果, 種々の表現型を示すものと思われる.
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