トウガラシの辛味に関する生理学的ならびに遺伝学的研究 V : 辛味の遺伝
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概要
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1. トウガラシ辛味の遺伝について, 定量的研究をおこなった。辛味成分 capsaicin の定量は閾値法による簡便法を考案し, これによった (Table 1)。2. 甘親として C. annuum の大獅子 (P1, capsaicin 含有率0.05%) と伏見甘長 (P2, 0.05%), 辛親として八房 (P3, 0.25%), 鷹の爪 (P4, 0.30%) および C. frutescens Ac 1443 (P5, 1.00%) を用いた。3. 甘(♀)×辛(♂)の交雑でえた果実の測定から, メタキセニア現象は認められなかった(Table 2)。4. 甘×辛のばあい, 正逆交雑で差は認められない。F1 は辛親と同じ程度の辛さ, F2 および BF1 では甘親程度から辛親よりさらに辛いものまで分離し, その度数分布は二頂曲線となる (Tables 3, 4 および Figs. 2, 3, 5)。5. 辛×辛のばあい, F1 はより辛い親と同じ程度の辛さ, F2, BF1 および BF2 は巾の広い連続変異を示す (Table 5 および Fig 6)。6. 以上の結果, トウガラシの辛味に関して単純な分離は認められず, さらに多数の個体を用いて実験をおこなう必要がある。
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