加圧下でのイオン交換反応を利用したアミノ酸発酵液精製方法の開発
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概要
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アミノ酸発酵液の代表的な精製法であるイオン交換樹脂法を用いて,副生物を削減し,製品純度を高めることができる方法を開発した.従来法では,吸着廃液や溶離液に溶離剤が残存するため,溶離剤由来の副生物が発生する,製品の純度が低下するという問題があった.新しい方法では,加圧下で炭酸ガスを溶解して発生した炭酸水素イオンを溶離剤として用いるため,吸着廃液と溶離液を大気開放することにより,残存する炭酸水素イオンを炭酸ガスとして容易に揮発,回収することができる.実験ではイオン交換樹脂として,強塩基性陰イオン交換樹脂SA10A(三菱化学(株)),発酵液として中性アミノ酸のL-フェニルアラニン発酵液または酸性アミノ酸のL-グルタミン酸発酵液を用いた.吸着では炭酸ガスの発泡を抑えるためにカラムを圧縮空気で0.5 MPaに加圧したところ,良好なイオン交換反応を行うことができた.吸着廃液を大気に開放し,さらに濃縮することにより,吸着廃液から大部分の炭酸水素イオンを除去させることができた.加えて,発酵液に含まれるアンモニアも同時に回収できることがわかった.溶離は,炭酸ガスを水またはアンモニア水に0.6–0.7 MPaで溶かした液を用いて行った.L-フェニルアラニンおよびL-グルタミン酸のいずれも溶離可能であり,溶離液を常圧に解放,濃縮するとほぼ完全に炭酸ガスを揮発することができた.本研究の結果より,発酵も含めたクローズドシステムを構築できる見通しを得た.
- 2005-07-20
著者
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