移動床型イオン交換樹脂法によるL-リシン発酵液の精製
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概要
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イオン交換樹脂を用いた発酵液の精製において, 菌体分離などの前処理を行わずに, 発酵液を直接処理できる新移動床法の検討を行った. 新移動床法は固定床法と異なり, 槽内で樹脂スラリーを撹拌しながらイオン交換反応を行うことを特徴としており, 菌体を含有した発酵液を供給しても菌体による閉塞は起こらないことを前報で実証している. しかし, 設備の動作安定性が悪く連続実験ができない, 溶離剤量が多いなどの問題があった.そこで樹脂の重力沈降を利用した沈降式分離装置を用いたところ, 設備安定性が増したため連続実験が可能になった. L-リシン発酵液を用いたパイロットテストでは, 12日間で15.4 tの精製L-リシンが得られた. また, 溶離液のL-リシン濃度, 溶離剤であるアンモニア量について, 前報と比べて改善することができた. 不純物除去性についても検討を行い, 樹脂に吸着するカチオン類の約90%を発酵液から除去できることがわかった. さらに新移動床法での廃液量は, 流動層法で樹脂を洗浄した場合に比べ少ないことから, 新移動床法が環境保護型プラントとして期待できることがわかった. 加えてイオン交換平衡が成り立つと仮定したモデル計算を行ったところ, L-リシン吸着量, アンモニア吸着量について計算値は実測値と良好に一致した. これより, モデルを用いたシステム最適化が可能であることがわかった.
- 社団法人 化学工学会の論文
- 2004-05-20
著者
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横山 正人
味の素(株)国際生産推進センター
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伊藤 寿夫
味の素(株)生産技術研究所
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伊藤 寿夫
味の素(株)国際生産推進センター
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伊藤 寿夫
味の素(株)・中央研究所
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楠瀬 泰弘
味の素(株)国際生産推進センター
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楠瀬 泰弘
味の素(株)
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