音声障害の診断と治療
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概要
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新潟県内唯一の音声障害専門外来を開設している特定機能病院耳鼻科咽喉科の立場から音声障害診療の現況を解説した.音声とは喉頭で発生する音波であり, 物理学的な特性は声帯の振動数が成人男性100-150Hz, 成人女性200-300Hzで, 声の強さは70-100dB, 発声持続時間は10秒以上が正常値である. 音声を評価する音声機能検査には, 声の聴覚心理的評価, 声帯振動の検査, 声の高さと強さに関する検査, 空気力学的検査, 声の音響分析がある. 喉頭疾患により音声機能は変化するが, 声門閉鎖不全が生じると呼気流率が増加し, 発声持続時間が短縮する. 声の高さは声帯の質量減少および硬化により上昇, 質量増加と軟化で低下する. 音響分析では, 声帯の不均一化によりゆらぎが上昇し雑音が増加する. 音声障害の治療には保存的治療として全身的治療, 局所的治療, 音声リハビリテ-ションがあり, 外科的治療としては喉頭マイクロサージャリー, 声帯内注入術, 喉頭枠組み手術が行われる. 当科音声外来19年間の受診症例の疾患分布を検討したところ, 声帯麻痺症例が18.0%と最も多く, 以下声帯ポリープ12.6%, 声帯溝症12.0%, 声帯結節11.7%, 非器質的音声障害9.8%, 慢性喉頭炎8.5%, ポリ-プ様声帯6.1%と続いた. 各喉頭疾患の音声機能を正常例と比較すると, 発声持続時間は声帯結節, 声帯ポリープ, 声帯麻痺, 男性の声帯溝症, 女性のポリープ様声帯で有意に短縮し, 呼気流率は声帯結節, 声帯ポリープ, ポリープ様声滞, 声帯麻痺, 男性の声帯溝症で上昇, 声の強さは声帯麻痺で低下, 基本周波数はポリープ様声帯で低下し, 男性の声帯麻痺, 声帯溝症, 声帯麻痺で上昇していた. 当科で施行した甲状軟骨形成術Ⅰ型の手術前後の音声機能検査成績は, 呼気流率, 最長発声持続時間, 声の強さで有意な改善を認め, 甲状軟骨形成術Ⅰ型が声帯麻痺症例の音声改善に有用であることが統計学的に確認された. また, 同手術にゴアテックス^(R)シートとシリコンブロックを使用した際の音声機能の改善を比較したところ, 最長発声持続時間でシリコン群の改善度の方が良好であった. 今後は医療材料としてより適切なゴアテックス^(R)を用いた術式の工夫が重要と思われた.
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