潰瘍性大腸炎におけるDysplasiaと散発性腺腫の鑑別のためのアポトーシスの有用性に関する研究
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概要
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潰瘍性大腸炎に関連して発生した粘膜内腫瘍, いわゆる dysplasia (Ulcerative colitis-associated dysplasia, 以下UCAD) と散発性腺腫 (Sporadic adenoma, 以下SA) の鑑別にアポトーシ スが有用かどうかを明らかにするため, 我々はdysplasiaと散発性腺腫におけるアポトーシス, p53蛋白過剰発現 (p53 protein overexpression, 以下p53 OE) の有無, およびp53遺伝子変異について評価した. 23病変のUCADと38病変のSAについて, hematoxylin eosin (HE) 染色, p53免疫染色, および DNA nick end labeling, さらに polymerase chain reaction (PCR) and direct sequencing にてp53遺伝子変異の検索を施行した. p53 OE 陽性UCADと p53 OE 陰性UCADのアポトーシス数は, それぞれ0.48 (±0.64), 0,20 (±0.37) であり, 有意差 (p =0.020) を認めた. UCAD全体 (p53 OE 陽性陰性を合わせたもの) では0.35 (±0.55) で, SAの8.39 (±12.01) と有意差 (p <0.01) を認めた. また, p53遺伝子変異は, p53 OE 陽性UCADと p53 OE 陰性UCADでそれぞれ88.9%, 72.0%であった. 一方, SAでは全例でp53遺伝子変異陰性であった. p53の主な機能の一つがアポトーシスの誘導であり, UCADにおけるアポトーシス数の低下は, p53遺伝子変異に関連している可能性がある. アポトーシスの評価, p53遺伝子変異の有無の推定, さらにはSAとの病理学的鑑別に有用である.
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