(総説) 体外発育培養液への抗酸化剤の添加は各種哺乳動物の卵母細胞の胚芽生態を向上させるか--受精能及び初期胚の発生向上を目指して
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概要
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近畿大学先端技術総合研究所紀要編集委員会[要旨] 生殖補助医療(ART)において、体外受精胚移植法の成功率の向上に向けて、低成熟率・低受精率・胚の形態的不良のため移植にまで至らない症例を如何に克服するかが大きな課題となっている。これまで、この課題解決に向けた基礎的研究が報告されており、活性酸素によるDNA 損害、脂質過酸化、タンパク質の損傷などの卵子を取り囲む卵巣卵胞内環境の悪化が重要な要因となっていることが明らかとなっている。現在、この卵巣卵胞内環境悪化を軽減する目的で、患者に対する抗酸化剤のサプリメントの服用が試みられている。さらに、それらの抗酸化剤を直接培地に添加する試みも行われており、卵成熟能、受精能及び初期胚の発生能に対して有効性が示されている報告も認められる。そこで本論文では、哺乳動物において体外発育培養液への抗酸化剤の添加が卵母細胞の胚発生能に及ぼす影響を検討している最近の研究動向について概説する。 [Abstract] Assisted reproductive technologies are widely accepted procedures for the treatment of infertility. Unfortunately, the success rate of in vitro fertilization and embryo transfer(IVF-ET)still remains limited to 30-40% due to developmental and fertilization failures and morphological abnormalities. Some studies have indicated that oxidative stress may be a cause of poor oocyte and embryo qualities. Reactive oxygen species(ROS)have been linked to DNA damage, lipid peroxidation, and protein damage leading to deterioration of ovarian reserve. Recent studies have demonstrated the potential benefit of oral supplementation of antioxidant for patients with fertilization difficulty and/or poor embryo quality. This article provides an overview of research conducted on the effectiveness of adding the antioxidants directly to culture medium.
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