初期近代における読書と思想 : ロバート・ボイルの化学的原子論の場合
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ボイルが現実に手元において使った書物を明らかにするため、第1 に私自身が『ボイル著作集』『ボイル書簡集』の全体にわたる引用分析を行い、第2 にブルガリア人科学史家アヴラモフ並びにロンドン大学歴史学教授マイケル・ハンターとの共同研究により王立協会ボイル草稿の全体をも分析対象として解析を行った。こうした分析結果と初期近代における読書習慣の研究成果に基づき、ボイルの化学的原子論は、ゼンネルトの『自然学覚え書き』(Hypomnemata Physica, 1636)における質的原子論から出発し、ガッサンディの厳密な原子論へと展開したことを論じた。さらに、「ミニマ・ナチュラリア」の伝統にたつゼンネルトの質的原子論においても、「分子」を導入したガッサンディの原子論においても、化学的現象の説明のための化学的粒子の想定が基本にあることを指摘した。
- 国際基督教大学キリスト教と文化研究所の論文
著者
関連論文
- 錬金術から化学へ : 器具と実験室の図像表示
- シンポジウム : 近代における知とその方法宮廷, サロン, コレクション : 2006年度年会報告
- ロバート・ボイルの化学研究の現場
- ボイル思想の自然誌的背景
- ロバート・ボイルの読書/引用/執筆 : ボイルのマージナリアの分析
- 化学実験室の図像表示 - ルネサンスからラヴォワジェまで -
- 新しいボイル像
- ジャン=リュック・ナンシー 西谷修訳編 『侵入者 いまはどこに?』 (以文社)
- パソコンの机
- 錬金術から化学へ : 器具と実験室の図像表示(ヘッドライン:実験および実験機器の化学史)
- Michael Hunter ed. The Boyle papers: understanding the manuscripts of Robert Boyle
- 18世紀ドイツの化学 : 歴史記述の問題
- 18世紀ドイツの化学 : 歴史記述の問題
- 日本における化学史文献 : 日本篇
- ロバート・ボイルの化学研究の現場(ヘッドライン:化学史研究の現在と化学教育)
- ロバート・ボイルと人文主義の方法(近代における知とその方法宮廷,サロン,コレクション-2006年度年会報告-)
- 化学史のデジタル・ライブラリー
- 紹介 William R. Newman, Lawrence M. Principe, Alchemy Tried in the Fire: Starkey, Boyle, and the Fate of Helmontian Chymistry
- 紹介 相馬伸一『教育思想とデカルト哲学:ハートリッブ・サークル 知の連関』
- ボイルとスピノザ
- 紹介 Antonio Clericuzio, Elements, Principles, and Corpuscles: A Study of Atomism and Chemistry in the Seventeenth Century
- 紹介 エッセイレビュー:新しいボイル全集
- 総目次補遺, 並びに第16巻以降の巻号対照表
- 化学史研究, インターネット, データベース
- 『化学史研究』 総目次 (1974年〜1999年) とその分析
- アントワーヌ・ローラン・ラヴォワジェ
- 紹介 ジョンH.ハモンド『カメラ・オブスクラ年代記』
- Alchemy and Chemistry in the 16th and 17th Centuries/Piyo Rattansi and Antonio Clericuzio(eds.)(1994)
- 初期ボイルの化学--ヘルモント主義の位相と種子原理
- 「宗教と近代科学の勃興」R.ホ-イカ-ス著,藤井清久訳
- 1991年度化学史「春の学校」に参加して
- ボイル全集の引用索引(資料)
- 最近のボイル研究:文献リスト
- ロバ-ト・ボイルの質の理論--1次性質-2次性質の区別の分析
- ロバート・ボイルにおけるベイコン主義(新しいベイコン像を求めて-神学,萬話解釈,物質理論-)
- ロバート・ボイルにおける科学と宗教の関係(I)
- 初期近代における読書と思想 : ロバート・ボイルの化学的原子論の場合
- ロバート・ボイルにおける科学と宗教の関係(II)