衛星インターネット環境に適したTCP-STARの実装及び評価
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概要
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衛星回線を用いた衛星インターネットサービスは,近年各地で多発する大規模災害に強く,安定した高速通信サービスを提供できるため注目されている.しかし,広帯域・高遅延といった特性をもつ衛星回線上において,従来のTCP(例えばNewReno)を用いると十分なスループットが得られないことが知られている.このような衛星インターネットに適したTCPふくそう制御方式としてTCP-STARが提案されている.TCP-STARでは衛星インターネット上において,従来TCPと比べて高いスループットを得られることがシミュレーションにより確認されている.しかし,実ネットワークではシミュレーションのような理想的な環境で通信を行えることは少なく,実装による性能評価が不可欠である.そこで本論文では,まず実ネットワークにおけるTCP-STARの評価を行うため,NetBSD1.6.2-Releaseのカーネル内にTCP-STARを実装した.次に,ハードウェアネットワークエミュレータを用いて衛星回線を考慮したテストベッドを構築し,このテストベッド上で既存TCPとTCP-STARとをスループットに関して比較評価した.その結果,実装したTCP-STARは一つのコネクションのみ存在し最大性能が得られる環境において,従来のTCP(TCP-NewReno),無線ネットワークを考慮したTCP(TCP-J),及び有線のLong Fat Network(LFN)を考慮したTCP(HighSpeed TCP,Scalable TCP)と比べて高いスループットが得られ,衛星回線上においてTCP-STARの機能が効果的に動作することを確認した.また,TCP-STARのみ存在する環境において,TCP-STARは公平性が高いことも確認した.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2007-06-01
社団法人電子情報通信学会 | 論文
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