米国のPDAと日本の先端的PPPとの制度基盤比較 : 紫波町オガールプロジェクトをベンチマークとして

概要

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本稿は，都市経営における米国の準自治体PDA（公共開発機構）のありようについての研究の一環をなす．日本のPPP（公民連携事業），とりわけ先端的事例として紫波町（岩手県）のオガールプロジェクトをベンチマークとして，PDAとPPPの制度基盤比較をおこなった．その結果，①紫波のPPPにあっては，従来の指定管理者型（公物管理）を越えて，設置したオガール紫波（株）を核に，都市計画の駆動的・連結的マネジメントがおこなわれており，単なる「自治体が民間活力を利用する」以上の機能を発揮していることが判明した．②しかし，PPPおよびエージェンシーに対しては，PDAの市民的評議会選出のような法制的しくみは存在しないことが判明した．尚，紫波のPPP事業においては，地域出身者をPPPスペシャリストに組織的に育成し，従事させていることが現実的駆動を支える大きな要因となっていることも判明した．これにより，PDAの，①自治体による創出（特別目的準自治体としての設置），②民間スペシャリストのスキルの利用，③市民的統治という位相三点に検討の焦点群があることが照射された．
2012-03-15