土壌-植物系における放射性セシウムの挙動とその変動要因
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概要
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東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性核種は、広く環境中に拡散し、日本の農業にも大きな打撃を与えた。今後も長期にわたり半減期の長い放射性セシウム(134Cs,2。06年、137Cs,30。2年)による影響が懸念される。土壌に沈着した放射性Csはまず土壌に吸着する。そして土壌溶液に再分配されることで植物の根から吸収され可食部まで移行する。一度土壌に吸着した放射性Csが土壌溶液に再分配される割合は非常にわずかである。このことが農作物の汚染を最小限に抑えている一方で、除染を難しいものにする一因ともなっている。森林生態系では放射性Csは比較的動きやすい形態を保存したままで循環しているため、農地への流入を含め、放射性Csのダイナミックな挙動を流域レベルで考慮する必要がある。本総説では、土壌-植物系あるいは農業生態系における放射性Csの挙動の特徴とその支配要因について解説した。さらに、農地から放射性物質を除去する手法についてとりまとめ、わが国におけるこれらの手法の有効性について議論した。
- 2012-03-00
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