青果物流通変容下における「内部規格」化の進展に関する研究
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概要
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流通変容下,すなわち大規模小売業が青果物の流通過程を掌握するに至った段階において,新たに導入された「内部規格」が,出荷や形成価格水準など取引諸条件の面で,産地にいかなる結果をもたらしたかについて考察した。「内部規格」の導入は,諸産地が縮小する市場規模に対応して,少しでも有利な地位を占め,有利販売に結び付けようとして導入したものであると言える。有利な地位や有利販売という点では外観規格の厳格化・細分化と変わるところはない。有利な地位という点では,品質保証や均質性保証がより明確化する中で,量販店との取引の拡大,卸売市場での評価の維持・上昇が見られたのであり,効果はあったと見ることができる。それが一つである。しかし,二つに有利販売という面では,大いに疑問の残る結果と言わざるを得ない。商品の均質化の向上が行われたのにもかかわらず,価格浮揚は明確に確認できず,また産地希望価格も多くの年で実現していないからである。三つに,非破壊センサーの導入には莫大な投資が必要とされ,その償却額が,価格浮揚が見られない中で,産地に重くのしかかっていると推察されることを指摘しておきたい。そして最後に,非破壊センサーのメンテナンスやトラブル対応に関して一言しておきたい。非破壊センサーが普及したとはいえ,未だメンテナンス要員,トラブル対応要員を各メーカーが各県毎に送る状況には程遠いといわざるを得ない。仮に,東京・大阪など本社所在地に数多くの要員を配置していたとしても,諸産地がそこから遠隔地にあることを考えれば,迅速な対応という面では問題が残るところであろう。トラブルが出荷最盛期に発生した場合には,事は重大である。
- 2012-03-00
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