土佐湾における夏季の下層水の上昇と低次生物生産
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概要
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中央水産研究所高知庁舎では主に中央水産研究所調査船こたか丸により,土佐湾における低次生物生産調査を1991年10月より2011年8月までほぼ毎月実施することができた。この調査の際,夏季,表面の水温が低下してないにもかかわらず,その下層の亜表層では1年を通して最も水温が低下する現象がしばしば認められた。これは水温の低い下層水が亜表層に上昇する湧昇現象と考えられる。概して,黒潮域の夏季の表層の水は栄養塩が少なく,一方下層の水は栄養塩を多く含む。このことは土佐湾においても同様である。このため,下層の水の上昇は,栄養塩が少ない夏季の土佐湾の表層に栄養塩を添加し,低次生物生産を高め,冬春季からの生物生産を維持継続する働きも大きいと推測される。本研究では,この下層水上昇の実態把握と低次生物生産への影響について検討した。
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