伝統食品製造企業の今日的企業行動と市場構造の寡占化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿の目的は,環境の変化に伴うみそ製造企業の企業行動と市場構造の寡占化をテーマに設定し,環境の変化,企業行動,市場構造の順序で考察・検証していくことにある。統計資料の分析,事例企業のひかりみそ社への実態調査を通し,以下の3点が明らかになった。第1に,長年継続する消費離れに加え,2000年以降には,原料価格の上昇分を販売価格に転嫁できない厳しい状況も生じている。そして,こうした環境の変化に伴い,市場規模が一層縮小している。第2に,このような状況のなかでも,業界内で最も躍進する調査対象企業は,1998年以降,資本集約的な生産体制を強化しつつ,変動費の削減と規模の経済を発揮するための対策を講じている。第3に,業界を取り巻く環境が変化するなか,ひかり社のような値下げに対応できる企業が台頭することによって,寡占化が進展するといった構造変化が発生している。この実態は,伝統加工食品でもあるみそも一般的な食品と同様に中小零細性や地域性が薄れていることを裏付けるものであり,先行研究で指摘されてきた同食品の従来の特徴的な部分が変容していることを意味している。
- 東京農業大学農業経済学会の論文
- 2012-03-00
著者
関連論文
- どこへ行く 日本の食と農(13)こんにゃく輸入の変化とその影響について
- コンニャクイモの主産地における生産構造の現段階
- こんにゃくにおけるフードシステム再編の課題と展望 : 伝統的加工食品における段階間の協調・連携関係の構築の現状と可能性
- こんにゃくにおけるフードシステムとその変貌 : 素材的特性と技術水準の関係を中心に
- 農産物の加工・流通を通じた地域活性化の可能性 (特集 持続可能な社会・経済システムのメカニズム)
- コンニャクイモ生産の展開過程と生産力発展 (特集 地域特産物生産の現状と課題)
- 伝統食品製造企業の今日的企業行動と市場構造の寡占化 : みそ製造業を事例として
- 伝統食品製造企業の今日的企業行動と市場構造の寡占化