異なる土性のライシメータに植栽されたスギ、ヒノキ成木における降雨遮断による乾燥害症状
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概要
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スギならびにヒノキ個体で乾燥害の症状が発生し枯死に至る過程、および症状が発生するまでの無降水期間を明らかにするために、埴壌土または砂質壌土を充填したライシメータに植栽された24年生スギ、ヒノキを対象に、地表面への降雨を遮断する土壌乾燥処理を行なった。土壌乾燥処理は2004年7月29日に開始し、土壌乾燥の進行が最も早かったスギ埴壌土区では30日後に、最も遅かったスギ砂質壌土区でも48日後には土壌水分ポテンシャルが-80kPaに達していることが確認された。乾燥害症状は埴壌土に植栽されたスギで最も早く発生し、処理開始から48日後に幹の収縮、79日後に葉の変色が観察された。葉の変色は梢端付近の褐変から始まり、その時点では梢端は緑色だったが徐々に変色部位が広がり、100日後には梢端まで褐変が認められた。一方、砂質壌土に植栽されたスギでは処理開始から110日後まで幹の収縮がみられず、葉の変色は不明瞭なまま低温により樹冠全体が赤褐色になった。ヒノキは降雨遮断の有無に関わらず、11月中旬に旧葉が褐変し落葉した。降雨遮断した砂質壌土に植栽されたヒノキは、他の個体と比較して下枝を中心に褐変葉が多く観察された。これらの結果から、幹の収縮や葉の変色といった乾燥害症状が発生するまでの無降水期間は土壌によって異なること、葉の変色症状はスギとヒノキで進行の仕方が異なることが示唆された。
- 2011-12-00
著者
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