食品成分によるメタボリックシンドローム予防・改善効果に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は、食品に由来するメタボリックシンドローム予防因子を探索、その作用機構を明らかにすることを目的として行われた。高脂肪食負荷マウスを用いてヤマブシタケの脂質代謝改善作用を検討したところ、体重増加の抑制、血清中性脂肪濃度の低下、脂肪肝改善作用が認められ、そのメカニズムの少なくとも一部はヤマブシタケに含まれるペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体α(PPARα)アゴニストが肝臓中の脂質代謝関連遺伝子の発現を上昇させることによるものであることが示唆された。ヤマブシタケのヒトにおける作用を検証したところ、その血中中性脂肪低下作用は明確にならなかった。ダイズに含まれるレニン阻害物質を単離し構造を解析したところ、ソヤサポニンIと同定された。ソヤサポニンIを含むダイズサポニンによる血圧上昇抑制作用を検討したところ、経口投与により高血圧自然発症ラットの血圧上昇を抑制することが示されたことから、ダイズサポニンはin vivoにおいてもレニン活性を阻害することが示唆された。以上の結果により、本論文ではヤマブシタケの脂質代謝改善作用と、レニン阻害成分による血圧上昇抑制作用のメカニズムの一部を解明することができた。これらは抗メタボリックシンドローム活性を持つ食品成分であり、メタボリックシンドロームの予防・改善に資する可能性がある。今後、本成分を用いた新たな機能性食品の開発が期待できる。
- 2011-12-00
著者
関連論文
- 自然発症高血圧ラットにおける米糠発酵エキス配合飲料の血圧上昇抑制作用
- 自然発症高血圧ラットにおける米糠発酵エキス配合飲料の血圧上昇抑制作用
- 腸内フローラが介在しないメナキノン-4(ビタミンK_2)の組織内生成機構の解明
- DNAマイクロアレイを用いたビタミンK標的遺伝子の検索
- 2. ラットおよびウシの臓器を用いたメナキノン-4生成機構の解析
- 無菌ビタミンK欠乏ラットを用いたビタミンKの新規生理作用の検索 - DNAマイクロアレーによるアプローチ -
- 2-III-1 組織内メナキノン-4生成機構の解析
- バキュロウイルス感染Sf-9昆虫細胞培養系におけるキチナーゼの発現
- 昇圧系の律速酵素を阻害する血圧制御--レニン活性阻害による新しいアプローチ
- GlcNAc 2-エピメラーゼ(レニン結合タンパク質)とレニンとの相互作用に及ぼすヌクレオチドの役割
- 担子菌類の蛋白質分解酵素の特性解明とその応用
- N-アセチルグルコサミン2-エピメラーゼ(レニン結合タンパク質)の構造と機能 : ヌクレオチドの役割を中心にして
- 食用担子菌類が持つ各種酵素活性
- 部位特異的変異体作成によるGlcNAc 2-エピメラーゼのヌクレオチド結合残基の解析
- 3. ラットの各組織におけるビタミンK同族体からメナキノン-4への変換活性
- 2-II-3 ラットの各組織におけるビタミンK_1からメナキノン-4への変換活性
- 遺伝子はどのように発現するか--DNAマイクロアレイによる栄養素の新しい作用の検索 (第3回21世紀の境界領域研究を考えるシンポジウム)
- 2-I-27 AMPの経口投与によるメタボリックシンドローム改善作用(一般演題要旨,日本ビタミン学会第63回大会講演要旨)
- 昇圧系の律速酵素を阻害する血圧制御 : レニン活性阻害による新しいアプローチ
- 食品成分によるメクボリックシンドローム予防・改善効果に関する研究
- 地方発バイオイノベーションの進展と機能性食素材開発 「あきた食品トライアルネット」の設立とその運用
- 食材由来マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤の探索
- 食品成分によるメタボリックシンドローム予防・改善効果に関する研究