近代木橋の残存強度評価技術開発
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概要
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愛媛県では、1999年度から公共建築物の木造化が推進されており、県下各地に多くの木造建築物が建設されているが、木造建築物の経年劣化状況の調査方法やメンテナンスについて体系化されたものは少ない。1999年9月宇和島市津島町の南予レクリエーション都市公園内の4橋の木橋のうち最もスパンの長い4号橋が落下した。この木橋は公園内の歩道橋として、1990年3月に架設されたボンゴシ材(Lophira alata Banks ex Gaertn f.)によるトラス橋で、落橋の主原因は部材間接合部に発生した腐朽に伴う強度低下であったと考えられている(鈴木憲太郎ら(2000))。このことをきっかけに、木橋等木造構造物の劣化の非破壊診断、メンテナンスについての重要性が再認識されることとなった。本試験では、県内の木橋を対象とし劣化診断の方法として2007年に予備調査として、日視法、打音、ピロディン、シュミットハンマ一、超音波伝搬速度、木ねじトルク判定等を行うとともに(矢田茂樹(2000))、採取された小試験体での曲げ・縦圧縮等の強度試験を行った結果、ボンゴシの強度を推定するには、密度および曲げヤング係数をパラメータとするのが適当である判明した。また、既存木橋の部材及び接合部に生じる劣化に特化した非破壊強度評価技術を開発するため橋の温混度データの収集や含水率の測定を継続して行った結果、特殊な機器に頼らず出きるだけ非破壊で行える木橋の劣化診断として高周波含水率計による経年測定が有効であることが判明した。
- 2011-03-00