紫外線-赤色光光質変換フィルムと紫外線カットフィルムの光学的特性および葉菜類の生育に及ぼす影響の経年変化
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概要
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紫外線を主として赤色光に変換するフィルム(変換フィルム)と紫外線カットフィルム(UVAフィルム),一般の透明フィルム(対照フィルム)について,その光学的特性やホウレンソウと葉ネギの生育への影響が経年的にどう変化するか調査した.各フィルムは小型雨よけハウスに展張し,展張5年目まで,毎年被覆下で作物をプランタ栽培した. 以下,結果の要点を示す. 1) 資材の日射透過性について,近紫外線域では,変換フィルム,UVAフィルムとも対照フィルムより透過率が低いが,変換フィルムの透過率は展張2年目から上昇する傾向がみられたのに対し,UVAフィルムは明確に上昇したのは展張4年目以降であった. 光合成有効放射域については,変換フィルムにおいて,被覆下における赤色光の割合が多く青色光割合が少ないといった特徴がみられた. しかし,展張2年目以降はそれらの程度が小さくなった. UVAフィルムは,対照フィルムと比べ,光合成有効放射域の透過性に関して大きな差がなかった. 遠赤色光域や近赤外線域の透過率については,各年とも供試フィルム間の差は小さかった. 2) 作物生育への影響については,変換フィルムやUVAフィルムの被覆下ではホウレンソウの草丈や葉面積,ネギの草丈や葉鞘径,生体重の促進がみられた. しかし,変換フィルム下では展張2年目以降は効果が減少した. UVAフィルムは新品時の効果は変換フィルムより小さかったものの,展張2~4年目は他のフィルムよりも被覆下作物の生育が良好であった. 3) 以上の結果や既存の報告を総合して考え,変換フィルムについては展張して概ね半年~1年程度で効力が小さくなり,UVAフィルムについては3~4年程度の持続的効果が期待できると結論づけた.
- 2011-02-00
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