今後の治山が目指す方向
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概要
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山地治山事業は、荒廃山地又は荒廃の恐れのある山地に対して山脚を固定して侵食を防止するための渓間工事、又は崩壊地を森林に復旧するための山腹工事を実施する等により森林の整備を図り、崩壊土砂の流出、洪水、土石流等による災害の防止、軽減を図るとともに水資源の涵養に資することを目的としている。我が国の国土の約67%が森林であることを考えれば、国土保全、国民の生活・生産基盤の安全・安心を保つ上で治山の果たす役割は非常に大きい。主として治山が対象としている災害を引き起こす自然現象は山腹斜面崩壊、地すべり、土砂流出、落石等であるが、災害はまた社会経済の状況とも深く関連している。したがって、山地、中山間地の自然条件、社会経済条件が変化することにより治山の目指す方向も時代と伴に変化せざるを得なくなると考えられる。一方で、森林の生育には数十年以上の長期間が必要であり、治山が森林の公益的機能の発揮を補完することを目的としていることを考えると、その時々の社会経済条件の変化とは離れて、長期的な視点に立った方針も必要と考えられる。すなわち短期的な変化に対応することと、長期的な視点に立った方針に基づいて着実に施策を実行して行く必要がある。ここでは著者が日頃考えている今後の治山が新たに目指す方向について述べる。
- 2010-02-00
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