雪腐病(2)
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概要
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雪腐病菌の生存戦略。すべての雪腐病菌がもっぱら積雪下のみで活動するわけではなく、いくつかの種においては、積雪のない植物生育期にも病気をおこす。このような雪腐病菌を条件的雪腐病菌といい、その生育適温は高めで、分布範囲は空間的にも時間的にも広い。代表的な条件的雪腐病菌であるMicrodochium nivaleは、秋播コムギなど冬穀物の全生育ステージにおいて、病原菌として関与している。すなわち、M. nivaleは、出芽前後の苗立枯病を引き起こし、発芽した幼植物の地際を犯し、積雪下では紅色雪腐病の原因となる。さらに越冬後は葉に病斑を形成し、最後に穂に赤カビ病を起こす。これに対し、絶対的雪腐病菌の生育適温は低めで、冬期間にのみ活動する。植物の生育期間中に活動する通常の病原菌は、植物組織を利用し尽くすと、未利用の健全植物組織へ胞子を飛散させ、二次伝染する(空気伝染)。しかし、積雪下ではこのような移動は不可能で、事前(根雪前)に空気伝染により宿主植物に到着するか、積雪下で手近な植物を利用するかで、雪腐病において二次伝染は基本的にない。また、積雪のため植物は、光合成ができない。いいかえれば、積雪下という生息場所は、雪腐病菌の利用するバイオマスが増加しないので、資源に限りのある環境であるといえる。このような条件下で、雪腐病菌は対称的な生活史戦略を採用している。
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