道内における過去の観測データによる降水特性の変化傾向
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概要
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地球温暖化に伴う気候変化の一つとして降水量や降水頻度および降水強度などの降水特性の変化があげられている。多くの気候モデルでは、気温および海水温が上昇することによって大気中の水蒸気量が増加するため、地球的規模において降水量の増加ないしは豪雨など極端な降水現象が増えると予想されている。国内的にも気象庁などが地球気候モデルより詳細な水平解像度を持った地域気候モデルを用いて約100年後の日本周辺の詳細な予測実験結果をまとめている。一方、近年の急激な地上気温の上昇に対応するような降水量の変化が認められないとする解析結果や、わが国における降水量の経年変化では全国的に減少傾向が見られるとの報告があることから、地球温暖化が降水量などにもたらす影響は必ずしも一様ではないと考えられる。一部の施設栽培を除いて、農業は立地している地域の気候・風土によって規定される諸条件の範囲内で営まれていることから、それらの変化による影響を強く受ける。なかでも気温と降水量は作物の生育に大きく関わっていることから、地球温暖化に伴う気候変化に対して脆弱性の高い分野の一つにあげられている。先に筆者は道内の気象官署、アメダスおよび農業気象観測所による観測データを用いて気温の長期変化傾向を解析し、道内各地において冬期間には温暖化の傾向が明らかであるが、夏期間には気温の顕著な上昇は見られないことなどを示した。本稿では降水量について道内各地の観測データを収集し、いくつかの降水特性の長期変化傾向を解析した結果について報告し、試験研究および営農指導に際しての参考に供したい。
- 北海道農事試驗場北農會の論文
- 2009-04-00
北海道農事試驗場北農會 | 論文
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