大学図書館における「場所としての図書館」の利用実態
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
原著論文【目的】図書館の電子化, 特にインターネットの隆盛により, あらゆる資料は将来的に電子化され, 建物としての図書館はやがて不要になるという議論がある。一方で, 「場所」が象徴する伝統的な図書館の役割, 「場所としての図書館」の本質を探り, 再評価する動きもある。国内においては「場所としての図書館」への再評価が, ラーニング・コモンズの隆盛という形で広がりつつあるが, 両者は同等ではなく, 設置の理念的な側面や位置づけの検討が不十分である。これは, 「場所としての図書館」の概念を明示することにより, 解決ができると考えられるが, 日本の大学図書館において「場所としての図書館」の利用実態はどんなものか, という点に焦点を当てた研究は乏しい。本稿ではこの点について調査した。【方法・結果】日本の大学図書館における「場所としての図書館」の利用実態を把握するため, 2009年6月23日から25日の3日間, 横浜国立大学中央図書館において, 観察調査を実施した。調査対象館を場所と目的によって30のエリアに分割し, 利用者の①滞在場所, ②利用物品, ③利用行動, を調査した。3日間で延べ9,610人の行動を記録し, その結果, ①「学習の場所」としての役割, ② PC利用者の存在, ③多様な利用実態, といった「場所としての図書館」の利用実態が明らかになった。また本稿では, 観察調査という手法によって, 質問紙調査では得られない実証的データに基づいて利用実態を明らかにすることで, 大学図書館の利用者調査の新たな手法の可能性を示した。一方で観察調査では, 利用者の主観的な判断や意識を計ることはできない点が課題となった。
- 2012-00-00
著者
関連論文
- ラーニング・コモンズと横浜国立大学中央図書館 : これまでとこれから
- 日本の大学図書館統計の現状と課題
- ワーキング・グループによる大学図書館職員研修の企画 : 「ad!ライブラリー〜大学図書館効果的広報戦略〜」を企画・実施して ( 自立的な図書館活動)
- 特集:「図書館経営」の編集にあたって
- 特集:「図書館にできること:周辺との連携を中心に」の編集にあたって
- ラーニング・コモンズの現況--米国の現状調査と日米の比較
- 特集:「ラーニングコモンズと利用者サポート」の編集にあたって
- 特集:「情報サービスとユニバーサルデザイン」の編集にあたって
- 日本の大学図書館におけるラーニング・コモンズ機能受容の過程
- 大学図書館における「場所としての図書館」の利用実態
- 特集:「アーカイブズの現在」の編集にあたって
- 特集:「『検索』のゆくえ」の編集にあたって
- 特集:「インフォプロの自己研鑽」の編集にあたって
- 「場所としての図書館」に対する大学生の心理
- 大学図書館における「場所としての図書館」の利用実態
- 特集:「デジタル時代の図書館建築とその施設・設備」の編集にあたって
- 特集:「今後の学術情報流通」の編集にあたって
- 特集:「情報の収集と発信」の編集にあたって
- 特集:「オープンソースソフトウェア:OSS」の編集にあたって
- 日本の大学図書館における学習支援サービスの現状